抱きしめる速度。
私がジロに、
叩きつけるように、
押しつぶすように、
学校に行け行け、ギャーー
と、言っていた頃は、ジロはそれこそ
私の心を潰すようなことばかり言ってのけた。
一度、「死ね」より酷い事を言われた時は、
それは、一直線に私の気持ちを射抜いた。
「ジロ、それは人として、言っちゃいけない。
おかんも傷つく。
それは判って欲しい」
泣きながら言った。
けど、ジロをそこまで追い詰めたのも、私。
私がジロに、キツく言わなくなって
ジロの言葉も和らいできた。
そして、気が向けば
私の背中に抱きつくようにもなった。
でも、もうきっと正面から抱きしめることはないのだと思う。
次にジロを正面から抱きしめるのは
ジロが愛おしいと思う人だろう。
そういや、大人の男性って、泣く場所がないのね。
今回、よくそう感じた。
泣きたくても、その胸で先に泣いてる人がいるのだ。
一緒に泣くって事も出来るのだろうけど
多分、大半の人は慰める方に回ってしまう。
だから、私は一度ならず相方を黙って抱きしめている。
それが慰めや癒やしになっているのかは分らない。
でも、私以外にそうする人がいないから(いたら困るな・・・w)
タロジロも、もう私に抱きしめられることはないだろうけど
私はいつも、常に彼らに向かって両手を広げてる。