懇談会。
懇談会は、ちょっと別の意味の覚悟をして行った。
うん、最初から判ってたし気持ちが落ちるのも想定してた。
教室の廊下側に、児童の作品展示がしてある。
いつもは懇談会の待ち時間は、
それらを見ながら微笑ましい気持ちになる。
ジロがそういった作品を完成させてないことも知ってたし・・・
だから、覚悟して・・・
クラスメイトの作品を見ながら
みんな器用だな、上手だな、と思いつつ
どうしてジロの作品がないんだろう・・・
作ってないからだよ、と一人ツッコミをする。
ボンヤリと窓の外を見て、無心になる努力をする。
先生と今、話したら。
間違いなく泣く。
それはしちゃいけない。
隣の学年クラスの展示台を嬉しそうに眺めてるママさん。
きちんと並べられた作品群。
思いの外、私の心のケージが削られてて
ひたすら違うことを考える。
ずっと、胸が痛い。
やがて、ママ友さんが教室から出てきた。
「おつかれ~」
「あ、ナギちゃん、ジロくんどう?」
「うん・・・ふふ、懇談会、頑張ってくるよ」
「頑張って(^^)」
教室に入ると、先生が
「こんにちは」と、笑顔で迎える。
先生と向い合って座って
ホント、しょっちゅうこうして話してるなぁ、と思う。
お話は、ひたすらジロのプライベートな事。
生活リズムが崩れている今は、それを立て直す以外にない。
冬休みに入れば、相方も私も怒涛の繁忙期になる。
朝起きて、ご飯を食べる事が出来るとは思えない。
多分、絶望的状況だ。
「僕、ジロくんに電話しましょう。
朝、起きてるかーって」
・・・きっと、出ないだろうな・・・
虚しく鳴り響く電話を想像する。
先生に申し訳なくて曖昧にごまかしてしまった。
結局、有効な手立てを思いつけないまま。
「ジロくんを信じましょう」の言葉に
「そうですね、信じましょう」
家に帰ってから、テレビを見ているジロに
「もう、お友達と学校で過ごす時間は少ないよ。
明日はちゃんと行きなさい」
「・・・・・・・・・・うん」
そして、次の日も行けなかったのだった。