魚。
仕事から帰ると、ジロはテレビをぼんやり見てた。
「しんどいの、治った?」
「もうちょっと、しんどい」
上着を脱ぎながら
「今日は、サバとアジを買ってきた。
サバは味噌煮にしよう。
アジは、どうしよっか」
「なめろうにして」
「判った。じゃ、魚、捌いてよ」
「・・・・・・・・・・うん」
部屋から追い立ててキッチンに行く。
手を綺麗に洗わせて、
私は、包丁を研いで、魚をガシガシ洗った。
ジロの学校では、5年の自然学校で魚の捌き方を教わる。
ジロたちは、サンマを捌いて缶詰にして帰ってきた。
久しぶりの三枚おろし、できるかなー
などと思ってたら、さくっと頭を落として
内臓を抜いて、水で洗い
迷いもなく、中骨に沿って刃を滑らせた。
ただ、サンマの時に皮の剥ぎ方を習わなかったようなので
半身の皮を剥いで見せると
割りと小器用に、皮を剥いだ。
「上手いぢゃん」
褒めると、軽くニヒルに笑って
「当然ぢゃん」
味噌煮まで付き合わせようと思ったら
「飽きた」と、部屋に上がってしまった。
料理をしながら
ニヤニヤが止まらなかった。